未来へ続く物語の記憶 January-III

放課後、予定を合わせて交流武術会になりました

 

シオン
シオン

炎上君、今回は平気?

 

リアス
リアス

あぁ。前回は世話になったな

 

陽真
陽真

んじゃまー始めっかー

 

武煉
武煉

といってもどうやっていこうか

 

フィノア
フィノア

役割分担でもするぅ?

 

リアス
リアス

……ひとついいか

 

陽真
陽真

どうした

 

リアス
リアス

俺達は特に教わることもないから、教わる組と時間までいる組に分かれたらどうだ

 

陽真
陽真

オマエ結構不真面目だよな、却下

 

カリナ
カリナ

そしたら担当希望とローテーション制にしましょうか。それぞれ学びたい人もいるでしょう?

 

武煉
武煉

華凜はちなみにどなたに?

 

カリナ
カリナ

お時間があればフィノア先輩に

 

武煉
武煉

寂しいな、俺も教えたいのに――!?

 

レグナ
レグナ

武煉先輩、俺、ヒトの落とし方教えて欲しいな

 

武煉
武煉

待ってください蓮っ、知っているでしょう――あたたたた落ちる落ちる!!

 

陽真
陽真

バカなヤツ……

 

フィノア
フィノア

バカはほっといてぇ、はぁい、フィノアちゃんとバトルしたい子ぉ

 

クリスティア
クリスティア

はーい

カリナ
カリナ

はい!

 

シオン
シオン

俺も、お願いします

 

リアス
リアス

俺も

 

フィノア
フィノア

はいはぁい、何が学びたいのかしらぁ?

 

シオン
シオン

え、遠距離の狙い方を!

 

クリスティア
クリスティア

チャクラムが戻ってくるの見たいっ

 

リアス
リアス

刹那がいるから

 

カリナ
カリナ

武闘会のリベンジを

 

フィノア
フィノア

ちょっと真面目なの一人しかいないわけ?? しかも一人私怨じゃなぁい

 

陽真
陽真

んじゃオレのトコー

 

エルアノ
エルアノ

お願いしますわ

 

ウリオス
ウリオス

オイラもだ!

 

美織
美織

あたしも!

 

結

僕もだ

 

陽真
陽真

お、いいバランス。そしたら武煉のトコが?

 

雪巴
雪巴

ぉ、お願いします!

 

ティノ
ティノ

ボクも!

 

ユーア
ユーア

お願いするですっ

 

レグナ
レグナ

お願いしまーす

 

武煉
武煉

一人目が笑ってないのがいるんだけど

 

陽真
陽真

自業自得だろ、んじゃ一人十五分でローテな、はい準備ー

 

first フィノアvsシオン 陽真vsエルアノ 武煉vs雪巴

 

結

一月も早いもので中旬か

 

美織
美織

一年生もあと二か月よね、早いわ

 

ウリオス
ウリオス

こりゃバレンタインまであっという間だなぁあ。龍の旦那はやっぱり嬢ちゃんからもらうんですかい?

 

リアス
リアス

いや、甘いもの苦手だし俺があげている

 

雪巴
雪巴

そ、そんなっ! せっかくのバレンタイン、ぉ、女の子からの素敵なものをもらえる貴重なイベントなのにっ!?

 

リアス
リアス

会話に入ってくるのは構わないが、前見てろよ雫来、拳迫ってるぞ

 

雪巴
雪巴

だ、大丈夫です!

 

武煉
武煉

あはは、余裕だな雪巴

 

雪巴
雪巴

わ、きゃあっ!

 

美織
美織

何ももらわないの?

 

リアス
リアス

そういうわけじゃないが……検閲してるし刹那から一粒もらうのがある意味バレンタインじゃないか

 

雪巴
雪巴

あーんですか!? そ、そのまま手についたチョコをなめたりっ

 

リアス
リアス

雫来、あとでいくらでも会話に入れてやるからとりあえず集中しろ。危ない

 

結

それでも避けているあの反射神経はある意味すごいな……

 

武煉
武煉

ならこちらで話そうか

 

雪巴
雪巴

ぉ、お話ですか

 

武煉
武煉

これもひとつの訓練としてね。雪巴はチョコを誰かに?

 

雪巴
雪巴

は、はい……! お世話になってる皆さんに、です! 武煉先輩はもらう人は、き、決まってるんですか? もてそうです

 

武煉
武煉

いくらかはもうらかな。あぁ、あとは陽真にあげるよ

 

カリナ
カリナ

 

美織
美織

 

クリスティア
クリスティア

 

雪巴
雪巴

ぶ、武陽ですか、陽武ですか

 

カリナ
カリナ

雪巴さんストップ、そこからは会議しましょう?

 

second フィノアvsカリナ、陽真vs美織、武煉vsティノ

 

美織
美織

お願いするわ!

 

陽真
陽真

おー。みおりんはメイスだっけか。何教えりゃいい?

 

美織
美織

地面のえぐり方を!

 

陽真
陽真

魔術無しで女がソレやったら恐怖過ぎんだろ、却下

エルアノ
エルアノ

夢ヶ﨑先輩と愛原さんはもはやバトルになってますわね

 

リアス
リアス

ある意味因縁だからな……

 

フィノア
フィノア

交流になってないわよぉ?

 

カリナ
カリナ

拳で語り合うのがうちの信条ですのでっ

 

フィノア
フィノア

そういうのだぁいすき♡ またあたしが勝ってあげるぅ

 

カリナ
カリナ

させるものですかっ、華乱睡塵槍!

 

フィノア
フィノア

あまぁい!

 

レグナ
レグナ

……女って怖いよね

 

ウリオス
ウリオス

ま、たくましいもんだしな

 

third フィノアvsクリスティア、陽真vsウリオス、武煉vsユーア

 

クリスティア
クリスティア

もふもふ…、かわいい…ずっと見てられる…

 

武煉
武煉

俺のところは次はユーアかな

 

ユーア
ユーア

はいですっ

 

クリスティア
クリスティア

 

武煉
武煉

おや、刹那も……ふふっ、俺の生徒が増えてしまったな

 

リアス
リアス

すまん……

 

武煉
武煉

構わないよ。あっちは白熱しているからね。それに刹那も護身術くらいあるといいんじゃないですか? 良ければ教えますよ

 

リアス
リアス

いや、いい。こいつにこれ以上力を持たせると俺と蓮の骨が粉砕する

 

クリスティア
クリスティア

いい度胸……

 

美織
美織

このぼきぼきって音何かしら

 

雪巴
雪巴

せ、刹那ちゃんの指の骨の音、ですかね……

 

せっかくなのでクリスティア&ユーアvs武煉でやることに

 

結

そう言えば炎上、あれからことは進んだのか?

 

リアス
リアス

……いや

 

美織
美織

原因はわかったのかしら

 

リアス
リアス

わかったにはわかったが

 

レグナ
レグナ

うかつに確認もできないよね

 

リアス
リアス

あぁ

 

シオン
シオン

じゃあそのあたりを付けたとこだけ避けて進めて行っちゃうとか

 

カリナ
カリナ

雪巴さんどうでしょう

 

雪巴
雪巴

へ、下手に避けるとどちらかのヤンデレ具合も上がるかと……

 

レグナ
レグナ

それなら大丈夫じゃない? もうカンストでしょ

 

リアス
リアス

お前ほどじゃない

 

ティノ
ティノ

記憶にないのもあるから難しいと思うけど……やっぱり話し合ってみるのが一番じゃない?

 

エルアノ
エルアノ

そうですね、彼女自身がどう思うのか、この行動に対して何を思うのか……答えは彼女しか知らないでしょう?

 

リアス
リアス

それを覚えていないから困っているんだろう

 

美織
美織

簡単じゃない! ねぇ雪ちゃん!

雪巴
雪巴

は、はい美織ちゃん!

美織
美織

体に!

雪巴
雪巴

き、聞きましょう!

リアス
リアス

帰りたい

 

final フィノアvsリアス、陽真vs結、武煉vsレグナ

フィノア
フィノア

ねーぇー?

 

リアス
リアス

……

 

フィノア
フィノア

あんた頭いいんだからいろいろ考えてんでしょぉ? 打開策も考えたんじゃないのぉ

 

リアス
リアス

……そりゃあな

 

フィノア
フィノア

でもその打開策すべてがダメになっちゃうことがあるってぇ?

 

リアス
リアス

するどい

 

武煉
武煉

修復不可能な事態になりかねないとか

 

陽真
陽真

ま、刹那ちゃんの様子見る限りはなんとなくわかるわな

 

結

炎上はそれを避けたいと

リアス
リアス

……そうだな

 

陽真
陽真

違う方向からアプローチしてみんのは?

 

フィノア
フィノア

でも全部探り探りなんでしょぉ?

 

武煉
武煉

予期せぬトリガーもあるかもね

 

レグナ
レグナ

長年この話本人にも触れてないからなぁ……

 

リアス
リアス

……とりあえず相談に乗ってくれるのは大変嬉しいんだが

 

レグナ
レグナ

うん?

 

リアス
リアス

全員集まるなっ! 狭いっ!

ユーア
ユーア

……。氷河は

 

クリスティア
クリスティア

んー

 

ユーア
ユーア

なにかこわいですかっ

 

クリスティア
クリスティア

 

ユーア
ユーア

炎上とすることっ、何か怖いですかっ

 

クリスティア
クリスティア

…初めてが、こわい

 

ユーア
ユーア

それは難しい問題ですな

 

クリスティア
クリスティア

んー

雪巴
雪巴

は、初めてというのは誰しもこわいものです、炎上くんっ、経験ないけど!

 

リアス
リアス

!?

 

美織
美織

そうよ! でも男のヒトに優しくされたらきっと和らぐわ! 経験ないけど!

 

リアス
リアス

なんでお前らっ……

 

ウリオス
ウリオス

ここは男らしくいこうぜ旦那!

 

武煉
武煉

やり方教えましょうか?

 

リアス
リアス

余計な世話だっ、つーかなんで待機組もっ……華凜はどうした!

 

ウリオス
ウリオス

あっちでユーアと嬢ちゃんが話してるの写真撮ってますぜ

 

リアス
リアス

華凜!!

 

カリナ
カリナ

なんですか、心配しなくてもあげますよ写真!!

 

リアス
リアス

ちげぇわ!!


 無事に咲いたペチュニアも時期が終わり、クリスマス・年末とぱたぱたしていたことで越冬の準備もせず。

「……この時期にどうしましょうか」

 一年生もあと二ヶ月弱というこの微妙な時期。目の前に広がる我々の担当場所には今、何もない。

 交流武術会も終えて一段落したということで幼なじみ全員でやって来た花壇。クリスティアと肩を並べて何もない土をただただ見つめています。

「新しく育てる?」
「比較的早く育つお花で、ですよね」
「まぁ来年も俺達が引き継ぐなら別だが」
「そうしてもよいのでしょうけれども。クラスも変わるでしょうし我々四人がまた美化委員になれるかどうかもちょっとわかりませんよね」

 いくら委員に非積極的な方が多かったとは言えど、そもそも四人一緒になったり誰か一人だけ違うクラスになんてなってしまったら四人でここは引き継げません。なかなか難しい問題ですね。
 三人でうーんと悩んでいると。

 隣の小さな天使がこぼしました。

「お花咲くくらい育つなら、誰かの家に持って帰ればよくない…?」
「ナイスアイディアですわ刹那!」

 庭でいろんな植物を育てている私の家でもいいし、よく行くカップル宅でもいい。どっちにしてもエシュト学園よりお手入れできそうですしまた次の年もなんてことができるかもしれません。
 そうと決まればこの時期に植えられそうなものがないか調べなければ。寒空の下でスマホを取り出し、一月に植える花で検索。

 えーと?

 ひょっこりのぞいてきたかわいいクリスティアと共に文字を追いながら。

「今の時期の種まきは……」
「むずかし、そう…?」
「この時期ですと十月とか春以降とかばかりですかね」
「少しでも芽が出るなら移動はできそうだけども」
「それならもう家で育てた方が早くないか」
「エシュトを彩る美化委員としてそれはちょっとよろしくないでしょうよ」

 育てるものがなければ仕方ないんでしょうけれども。

 なにかないかしら。比較的早めに開花してくれそうな──。

 ざーっとスクロールしていく中、目に留まったものにぴたり指先を合わせた。

「ポット苗ですか」
「お湯の…?」
「お花が大変なことになりますわ刹那。これですこれ」

 ちょうど画像もついているのでクリスティアにわかりやすいようにちょっと拡大。後ろから男性陣がのぞいてきたのでご一緒に。

「種や球根ではなく、すでに少しだけ芽が出ている状態で販売されているものです。これなら今からでも二月三月あたりに開花するものが手に入れられるかと。今現在で言ったら……」

 画面を再度スクロールし、いくつか挙げられている花を見ていく。
 ここまでずっと花言葉シリーズで来たので今回も花言葉がいいですよね。一回失敗しましたけれども。あまりこう重荷にならないようなもので……。

「これとかいかがです?」

 下の方にスクロールして行き、ひとつの花でぴたりと留めて三人にスマホを見せた。

「あねもね…」
「はいな。ちょうど十二月から二月あたりでポット苗が出回っているようで、二月下旬くらいから開花だそうです。開花が長いようで五月あたりまで楽しめるそうですわ」
「んじゃ引継ぎがなかったら華凜か龍たちの家で引き取りでもよさそうだね」
「えぇ。いかがでしょう?」
「俺は構わないが?」
「俺も異議なし」
「わたしもー」

 全員異議なしということで。

「では苗は近々私と蓮が」
「おっけ」
「頼む」
「お任せくださいな。ちゃんと四人で埋めましょうね」
「うんっ…」
「では今日はひとまず帰りましょう。暗くなってきましたわ」

 さすが冬となれば日も短いもの。夕日がどんどん暗くなっていく中で促し、四人で歩き出す。

 いつものように私とクリスティアで前を歩き、周りの花も見ながら。

「刹那」
「はぁい…」

 どうせ聞こえているかもしれないけれど、ちょっと声を潜めて隣の親友へ。

「アネモネ、咲いたらあなたから龍に送りなさいな」
「…?」

 一度首を傾げた少女はすぐさまぱっと顔を明るくしました。

「花言葉…?」
「えぇ」

 直接言葉を言うのはだめだけれど、ものならきっと大丈夫。

「アネモネの全体的な花言葉は”あなたを愛しています”だそうですわ」

 あら、横目に見えた幼なじみの体がびくつきましたわ。それにしてやったりという顔を向けながら。

「バレンタインは過ぎてしまいそうですけれど、ホワイトデーにでも渡してあげれば喜ぶんじゃないかしら」

 ね? と。
 気まずそうな顔をしている男から親友へと顔を戻せば。

 彼女はきらきらと顔を輝かせています。

「どうでしょう」
「華凜ぐっじょぶ…! さすが親友…!」
「お褒めに与り光栄ですわ」
「華凜にも送るね…!」
「それは結構です、愛するあなたの恋人に贈ってあげなさいな」

 あ、最後の方聞こえてませんね。うきうきしてますもんね。まぁいいですわ。

 早く咲かないかなとまだ買ってもいない苗に思いをはせる親友に微笑み。

 これは気合いを入れて選ばなければなりませんねと、暗くなってきた空の中歩みを進めた。

『花の色は、いたづらに。』/カリナ