また逢う日まで初稿版 First grade November

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 女子というものはとても怖い。
 サシで勝負する男子と違って何かと集団で行動するし、呼び出しなんかはとくにそう。あなた関係ありましたっけ??と言いたくなるくらい関係のないヒトが傍にいたり。
 過去お兄さまを助けたりなんなりでいろいろとあったので正直そういうお呼びだしが私は大変苦手なんですけれども。
 クリスティアとリアスがお休みしている本日の昼休み。
「華凜ちゃん、ちょっといいかしら?」

 そんな苦手なお呼びだしがやってきてしまいました。

 本日はお兄さまと二人、裏庭でご飯を食べていたら廊下の窓から聞き慣れた声。上を見れば仲良くなってきた同級生がまぁ勢ぞろいしているではないですか。これは昨日の件ですよねとから笑いしたのもつかの間。
 何故か私だけお呼びだし。
 ご丁寧にも同級生は男女分かれて立っている。明らかにこれはよくある呼び出しだと過去の経験から思いました。思わずぎこちなく笑ってしまうのは仕方のないことのはず。
「……えぇと、私だけにご用、です?」
「えぇ、ちょっとお話したいことがあるの!」
 この四人で! そう手を広げた先は後ろに控えていた雫来さん、エルアノさん。これはもう呼び出し確定ですわ。どうしよう正直とても怖い。でももし私が行かないことでクリスティアに何か行ったらと思うとそれも嫌。若干考えが飛躍していっている気がしますがこれも仕方のないことと自分に言い聞かせて、とりあえず立ち上がる。
「女性だけでのお話です?」
「えぇ!」
 この笑顔は良い意味なのかそれとも悪い笑みなのか。見慣れてきたものに少しの恐怖を抱いてしまう。
「……大丈夫?」
 そんな私に気づいたレグナが小さくそう言いました。その言葉には、うなずいて返して。
「ちょっと行ってきますわね」
 心配そうな雰囲気を出す兄の方は見ず、きょとんとしている他の男性陣を置いて。
「じゃあ行きましょうか!」
 先陣を切って歩き出す道化さんに続きました。

 つれてこられたのは裏庭のいつもお弁当を食べている大きな木の下から数本先の少し小振りの木の下。
「ここなら大丈夫かしら?」
 そう言う道化さんに、おそらく兄は聞こえますというのは今回黙っておいて。
 何を言われても動じまいと心に決めて、私の前に立つ道化さんと雫来さん、そして雫来さんの肩にとまるエルアノさんを笑って見据えた。
「何のご用でしょう? 男性陣から離れて」
 向こうでは話せないお話です? と聞けば。
 三人は一瞬目を合わせる。何その視線合わせ怖い。無意識に手をぎゅっとしてしまった。どんなに思い返してみても今回私が何か言われるようなことなんて何も思い至らないけれど。
 こういう女性から言われる場面で思い出すのは、どうしたって過去のこと。
 ひどいことでも言われるのかしら。生まなきゃ良かったと同じくらいつらい、何かが──。
 道化さんの口が開いたことに、反射的に身構えたら。
「女の子特有のお話って大丈夫なのかしら!」
 どんな予想にもかすらない、そんな言葉がやってきました。
 思わずきょとんとしてしまう。とりあえず一回反復してみましょう。
 ”女の子特有のお話って大丈夫なのかしら”?
 だめですわどう考えても「どういうことです?」としか言葉が出てこない。え、聞き返していいです? いいですよね? 思った以上に道化さんたちの雰囲気も柔らかい感じがするので大丈夫ですよね? 信じますよ心の声。
 少しだけ緊張の抜けた体で息を吸って。
「……どういう、こと、かしら?」
 出た言葉は自分でもびっくりするくらいたどたどしい言葉。今度は道化さんがきょとんとして。
 いつも通り、笑う。
「刹那ちゃんのお話よ!」
 どうしましょう話が部分的でどうしても理解まで行かない。
 今度は言葉ではなく視線で、雫来さんとエルアノさんに「どういうことですか」と尋ねてみました。二人は一度目を合わせてから私を見る。先に口を開いたのはエルアノさん。
『氷河さんと炎上さんのお二人は、ご同居なさっているんだとか』
 おっと「そうじゃないんですよ」と返せないくらい優雅に言われてしまった。思わずうなずけば、今度は雫来さんが。
「その、み、道化さんが……同居を詳しく聞くのは、ぉ、置いといて……氷河さん女の子だけど、その、女の子特有の悩みとか大丈夫なのかなって言ってまして……」
「炎上くん、しっかりしてるとは言えどまだ高校生でしょう? 一緒に住んでるなら親御さんはその家にいないと思って……そしたら刹那ちゃん、女の子が悩む特有のことって大丈夫なのかしらと思って! 華凜ちゃんに話せているならばいいのだけれど」
『本当ならば氷河さんに聞くべきことなのですが……少し失礼な言い方ですけれども、察しの良さそうな愛原さんもいらっしゃるときにと』
「刹那ちゃんはお休みだったけどね!」
 そう口々に話しているのを聞いて、ようやっと理解する。

 クリスティアを心配していたと。

 そして話の内容的に男性陣に聞かれるのもアレだからと、私一人を呼び出す形になったと。
 あぁ、なんだ。
「……私に、何か言いたいことがあったとかでは、なかったの……」
 ほっとして思わずこぼれてしまった言葉にハッと口を塞ぐ。しまったやってしまった。恐る恐る彼女らを見れば。
 きょとんとした顔。
 これは聞こえなかったということで大丈夫です?
「言いたいことならいつもあるわ!」
 違った普通に聞こえていらっしゃった。
 ていうか、え?
 言いたいことならいつもある??
 なんでしょう。やばいですねまた体が緊張してきました。道化さん待ってにこにこしないで、逆に怖い。
 けれど「言わないで」なんていうのも言えず。なんでしょうと返しながら、開いた彼女の口に再び体を緊張させた。
「もっと仲良くなりたいの!」
 そうしてまた、聞こえた声に私がきょとんとして。
 頭の中で反復し、体の力が抜ける。
「なかよく……?」
「そう! もちろん刹那ちゃんも入れて! それこそ女の子同士でしか話せない話とかいっぱいあると思うわ!」
『悩みはもちろん、何気ないこともお話ししたいですわね。愛原さんは知識も深いようですし、お話が楽しそうですわ』
「わ、私も……!」
 頭が追いつかない中で、手が取られる。びっくりして手と道化さんを交互に見た。
 彼女の顔は、変わらないかわいらしい笑顔。
「どうかしら!」
 きっとそれが私のように癖であっても、彼女の目は嘘は言っていなくて。
 思わず、うなずいていた。
「それ、は……もちろんですわ」
「本当!」
 屈託のない笑顔が、とてもまぶしい。顔が勝手にほころんでいく。最初は怖かったけれど、ずっと仲良くしてくださっていた方々に失礼でしたわね。
 謝罪とお礼を込めて、「では」と口を開いて。
「刹那とも、たくさん仲良くしてくださいな──美織さん、雪巴さん、エルアノさん」
 そう、言えば。
 一瞬びっくりした顔の三人はすぐに笑って。
 もちろんと、快くうなずいてくれました。
 自由になった手で、こちらをずっと見ていたであろう兄には背中でOKサインを作っておくことも忘れずに。

 お昼休みが終わるまでの少しの間。久しぶりにクリスティア以外の女性たちと話を楽しみ、笑顔で授業へと向かいました。

『女子が怖いカリナさん(志貴零)』/カリナ