そっと、視線を”自分”に向ける。
見つめあった”自分”は、ほんの少しだけ冷たい。それに、少し違和感。
私、こんな顔だったかしら。
首を傾げれば。
「どしたの」
なんて、優しく声をかけてくる。
冷たい顔だった割には声は優しいのね、なんて思いながら。
「なんとなく、私はこんな顔だったかしらと思って」
「いつも通りかわいいよ」
「あら、ありがとうございます」
そう笑って。
一度、瞬き。
鏡だったはずのそこは、愛しい兄へと早変わりしていた。
正気に戻ったとわかった兄は笑う。
「おかえり」
「ただいま戻りました」
「どこで戻った?」
「かわいいで戻りましたわ」
「かわいいだろ」
「私ならクリスティアの方がかわいいと言います」
「確かに」
笑って。
兄の胸へと、そっと体重をかけた。
「なに、寂しい?」
「いいえ」
兄の言葉には首を横に振りながら。
「こうしてあなたにもたれかかれば、飲み込んでくれるかなと思っただけです」
小さくこぼせば、兄は「そ」とつぶやいて。
まるで本当に飲み込んでくれるかのように、強く抱きしめてくれた。
『あなたと本当にひとつになれたらよかったのに』/カリナ