「ハッピーハロウィーン」
「ん」
十月三十一日。
ソファで本を読んでいれば、また今年も機嫌よさげに恋人は隣へやってくる。
「おかしっ」
「俺がやることは決定事項か?」
「リアスはクリスのいたずらいやがるでしょう?」
「そりゃお前のいたずらは質が悪いからな」
言いながら、きちんと用意してある菓子の袋を渡してやった。
そこまで小さくもなく、隠してもいないのだから見えていただろうに。
受け取ったクリスティアは、初めて見たかのように頬をほころばせ、菓子の袋をぎゅっと抱きしめる。そうして、その幸せそうな顔のまま。
「ありがと」
「どういたしまして」
甘い礼に、俺がそう返したのを確認してから、菓子の詰め合わせ袋の封を切る。
「♪、♪」
嬉しそうに吟味して、これはあとで、と一つ出しては戻し、また出して。
”おたのしみ”にどんどん追加されていく菓子たちを見ながら。
「――……今年はいいか」
「?」
「いや」
いつかのハロウィン、痛い目を見た時もあったので。
今年はおとなしくしているかと。
再び菓子を吟味し始めるクリスティアを抱きかかえるだけにとどめた。
『いつかはその甘い君をいただこう』/リアス