誕生日が嫌いだった。いつも独りになるから。
共に生まれたはずなのに、いつからか遠くに行ってしまう大好きな兄。
その兄がいないから、寂しくて、辛くて。大好きな兄のいない誕生日などいらないと、いつも膝を抱えていました。
けれど。
「♪」
とある時から、私は誕生日がまた好きになった。
深夜零時過ぎ。あるだろうとポストに行けば、宛名のない手紙がやっぱりあって。
中を開ければ、矛盾だらけの兄の想いが綴られている。
とあるときからするようになった、誕生日プレゼント。
それが、嬉しくて。
一枚一枚、毎年贈られるバースデーレターをきれいにしまっていった。
それが一回の人生なら、人生の終わりに見返して、幸せだったわと言うのだけれど。
我々は人生を何回も繰り返していてですね。
「……なにこれ」
繰り返して数百回ともなれば手紙もとんでもない数になりまして。
一部屋を手紙置き場にしていたらそれを見た兄がドン引きした声を出していますわ。
「お兄様からいただいたお手紙です」
「ストーカーじゃん……」
「誕生日になんてことを」
いやまぁ量的にその自覚ありますけどね??
気に入ったものは貼ってるから明らかにストーカーっぽいけども。
でも。
「このくらい、大切なんです」
そう、言えば。
「……この矛盾だらけの手紙が?」
自嘲気味に、兄は笑った。
それには、うなずく。
――そうよ。
逢わないと遠ざけるくせに、手紙では愛を綴り、幸せを願う。共にいたいとも書いていた。
不器用で、自分勝手で。
そんなにそばにいたいと願うならそばにいてよと。そう思う時ももちろんあるけれど。
自分の決断に絶望して、けれど望みを絶つことができず。私の幸せを願う、一つ一つの文字が、想いが。
「……大切よ」
そう、もう一度言えば。
「……そ」
そっけないけれど、どこか嬉しそうな音の混ざった声で、兄は笑った。
『そうしてまた今年も、一枚。矛盾した愛が増えていく』/カリナ