同級生で遊びませんか?

  「冬休み、せっかくならみんなで遊ばない?」 そうHRのときに言ってきたのは閃吏くん。リアスと一度目を合わせてから、お隣に座る方々へ目を向けました。 「みんなで、ですか」 「うん、美織ちゃんたちと話しててね」 『夏休みは遊べなかったから冬休みこそ遊ぶですっ!』 まぁなんと学生らしい。なんて考えが浮かぶのは高校生らしくないかしら。魂年齢的には越えに越えてますからね。そう思ってしまうのはちょっと許してほしい。 そんな的外れな考えは置いときまして。 恐らくは四人一緒でしょう、すでにチェック済みの体育球技テストの説明用紙を二つ折りにしながら。 「遊ぶとなりますと……年末になってしまいそうなのですが」 『クリスマスはだめですかっ』 「そうですねぇ」 困ったように肩をすくめて、頷いた。 「イブと当日はとても忙しいんです」 「えっと、やっぱりパーティーとか? 愛原さんも波風くんもお金持ちだし」 「いいえ、その二日間はそういったものにはいっさい参加しませんわ」 パーティーというのはあながち間違えではないのですけれど。 笑うと、じゃあどうして? と言うようにお二人は首を傾げる。その答えは、未だ口を開かない目の前の男に代わって私が告げました。 とても、とても。 「大事な日──刹那の誕生日があるんですよ」 大切な物を扱うように、丁寧に伝えれば。 二人はぱちぱちと目を瞬かせてから驚きました。 「えっ」 『クリスマスにですかっ』 「誕生日はイブなんですけれどもね。毎年お祝いしているんです」 我々双子はお逢いできないこともありますけれど。それでも住所を聞いてプレゼントを贈ったり、電話でお祝いの言葉を告げている。 そんな今年は、小学生以来。四人で久し振りにそろう日。 「久しぶりに幼なじみ水入らずでパーティーをするんです」 きっとレグナが作るであろうパーティードレスに身を包んだクリスティア、そしてレグナが作る大きなバースデーケーキをほおばるクリスティア。主に用意がお兄さまの名前しか挙がってませんが本人も楽しげにしているので良いとして。 幸せそうな彼女を想像して、自然と顔もほころびます。 そんな私を見てユーアくんも嬉しそうに頷きました。 『それはおじゃましてはなりませぬなっ』 「そうだね──あれ、でも」 お話を続けるために閃吏くんたちがいる方向を向かうように座り直すと、彼は何かに気づいたご様子。 「? どうしました?」 「えっと、二日とも忙しいってことは……イブにお祝いして、次の日はクリスマスパーティー、ってことかなって」 「あぁ──」 かわいらしくこてんと首を傾げた閃吏くんに、私は首を横に振る。 「いいえ、クリスマスも誕生日もイブの日にやりますわ」 『当日はおでかけですかっ』 「まさか。この過保護がそんなこと許すはずないでしょう?」 そうリアスを向いて言えば至極当然というように彼はスマホをいじっている。少しくらい悪びれなさいよ。 どうせ伝わっていることは知っているのでまた閃吏くんたちの方を向くと、また「どうして」というような表情。 何故「どうして」なのかしら。クリスマスでしょう? 「クリスマスと言えば大事なことがあるじゃないですか」 「えーーーと……恋人同士の時間とか?」 「それでしたら我々もご一緒にというのがいささか変ですわね」 『クリスマスもなにかの記念日とかですかっ』 「いいえ、クリスマスはクリスマスです」 えっもしかして今の子って全然そういうの信じてません? 高校生ともなるともう無縁なお話かしら。クリスティアを基準にしているからか逆に私が違和感を感じてしまう。隣を見て、 「ねぇ龍、クリスマスと言えば大事なことがありますよね?」 確認するように問えば、リアスもそうだなと頷いてくれます。そうですよね、ありますよね。 「えっと、他にクリスマスで大事なこと……」 『幼なじみでのプレゼント交換、です?』 「でもそれだとイブのパーティーのときにやりそうだよね」 「プレゼントという点は当たりですよ」 「でも交換でもない?」 「えぇ」 頷くと、再び悩んでしまうお二人。えっ本当に? 絶対子供の頃はわくわくしながら待っていたでしょう? ほら彼ですよ彼。 ちょっとリアス答え言ってあげなさいよ。あなたが言えば絶対おもしろいから。 そんな思いを感じたのかそれともたまたまなのか。隣の男が言葉を発しました。 「クリスマスは定番のものがあるだろう?」 『定番ですかっ』 未だ首を傾げている二人に。 普段からクールな彼が、答えを出した。 「サンタが来るじゃないか」 それを言った瞬間、二人どころか教室中全員がこちらを向いて信じがたい目をしていた光景は、きっと一生忘れない。 『吹き出すのを我慢するの大変でした』/カリナ