また逢う日までライト版 First grade April

2019-12-26

運命はいつもいじわる。いじわるで、残酷で。そしてそれは、”変わることなんてない”って、突きつけられてる気がする。

学校のクラス分けとか、あれはまさに運命のいたずらなんじゃないか。

なんで突然、そんな話になるかと言えば。

「…高校一年目は終わった気がする」

今まさに、それに直面してるから。

四月。ハーフもビーストもヒューマンも、種族関係なく通える国家エシュト学園に、恋人のリアス様と入学した。門をくぐったすぐのところに張り出されてる、最初で最大の難関、クラス分け表を眺めたら。

わたし、クリスティアこと氷河刹那は一組、リアス様こと炎上龍は隣の二組。

うん、見事にクラス分かれてる。さっきから何回も見てるけど変わらない。

……どうしても分かれてる。

「俺も終わった気がする」

隣で同じくクラス分けの掲示板を見ていたリアス様が言う。うん、終わったね。でもね、わたしとリアス様の「終わった」の意味は全然違うの。わたしがリアス様と一緒のクラスになりたいのは、「好きな人と一緒になれたらうれしい」とかいうかわいらしい女子の、そんなかわいらしい理由なんかじゃない。

「これではお前の傍にいれないな」

齢十六にして彼女との同棲権を義親からもぎ取った過保護な彼氏とクラス離れるとそれはもう大変だから。ものすごく面倒だから。面倒な人と離れると平和になれるなんて言った人はどこのどいつなんだろう。うちでは逆です。離れた瞬間平和は終わる。

「いい、だいじょうぶ…。わたし自分のことくらい自分で守れる…」
「それができるなら十八歳の三月二十七日にお前は消滅しない」

そうじゃなくてですね。確かに自分の身を犠牲にしてリアス様をかばっちゃうから毎回十八歳で消滅するのを繰り返してきてるけども。でも今はこれからの学校生活の話をしたいんです。

どうにかリアス様の心配を和らげるものがないかと、もっかい掲示板を見上げる。
これだとまた授業中に鬼電してきたりメサージュ五秒以内に既読つけないとクラスに突撃してきたり、最悪の場合学校辞めることになる。実際全部あったしついでに言えば中学はクラス分けのせいで不登校だったし。

それは困ると必死に探してたら、ふと目に留まる名前。

わたしの氷河刹那の上に、見覚えのある波風蓮って名前がある。これは同じ高校に通う双子の兄妹、兄のレグナの日本名。

──これだ。

「リアス様、わたしのクラスにレグナがいる…」
「そうだな」
「レグナと一緒にいればリアス様も安心…?」
「まぁ、一割くらい」

親友への信頼度低すぎませんか。だけど一割でも安心するならそれでもいい。リアス様の服のすそを引っ張って、ちょっと上目遣いになるように、言う。

「ね、ちゃんとレグナの傍にいるから、連絡とかちょっと、ちょっとだけひかえてほしい」

あの二人はたぶん時間ぎりぎりで来るはず。まだ掲示板を見ていないであろう幼なじみの知らぬところで、彼の平和を犠牲にわたしの道連れにするという悪魔並の行動に出た。天使名乗っててごめんなさい。

「………………レグナがいるなら、まぁ、少しは控えてやらなくもない」

ものすっごい悩んで、ものすっごく納得は行かない顔だけど、リアス様は了承してくれた。内心でガッツポーズをする。

「…ありがと」

たぶんリアス様とか双子の幼なじみくらいにしかわからないけれど、ほほえんでお礼を伝える。レグナにもちゃんとお礼言うよ。事後承諾もかねて。

「確認できたなら行くぞ。立ち止まっていると邪魔になる」
「はぁい…」

ちょっと不服そうだけど、決まったことだからって歩き出すリアス様の手を取って、一緒に校舎に向かった。
さぁどうやってレグナに伝えようか。はじめにありがとうって言う? それとも学校通いたいから一緒にがんばろうね、とか。あ、これいいかもしれない。なんだかんだ面倒見のいいレグナだからきっと妥協してくれる。リアス様と離れたわたしと同じクラスになっちゃったからどうせ巻き込まれるんだろうし。だったらはじめから道連れにした方が早いよね。少しだけ天使とは言い難い考えしてる気がするけどまぁいいや。

ものすごく心配そうなリアス様に大丈夫と言い聞かせて教室の前で別れて、席に着く。時刻は八時二十分。きっともう少しで、レグナが来るんだろうな。今か今かと、目の前の空席を見つめながら、イメージトレーニングをする。本人のいないとこで勝手に平和を犠牲にしたことに罪悪感はちょっとだけあるけれど、後悔はしてない。ついでに言えば反省も。

これも運命のいじわるだもん。仕方ない。

やってきた幼なじみにそう伝えたら、「俺に対するいじわるを作り出したのお前じゃねぇか」って怒られた。

『運命は、いつだっていじわる』/クリスティア