また逢う日まで 先読み本編second June

午前最後の演目、討伐合戦。
泣き止んだクリスティアが結界の中でエルアノとティノと一緒に敵を一生懸命討伐しているのを見ながら、思う。

あ、正確にはクリスティアたちとあれか、結界の外であの子ら見てる大勢の身内見て、だわ。

親友を始め見守ってるもヒトいれば一生懸命応援してるヒト、ついでにカメラ構えてる妹たち。

―うん。

「なんかもう父兄だよねあれ」
「奇遇だな波風、僕もそう思うよ」
『大人気だな嬢ちゃん』
「リアルタイムで写真送られてくるわよ!」
「あの連写してる中でどうやって送んの」

あぁでもツッコんどいてなんだけどうちの妹ならできそうな気がする。これ隣の祈童も思ったよね絶対。目が「あぁ……」って悟ってるもんね。

「その応援のおかげもあってかトップじゃん妹分」

そんな悟ってる中、後ろから体重をかけられて体が一気に重くなる。これは今回うちの身内で参加の上級生だとわかっているのでそっちは向かず、立てた足に肘をついて体を支えた。

「まぁ討伐なら割と得意分野だしね」
『今年保護走当たらなくてよかったですっ』
「それはほんとに」

あいつ絶対機械爆破しそう。

「今年刹那の担任なんて言ったっけ」
「あー英牙クン? 去年の見てるはずだし、さすがっつーか采配うまかったよな」
「感謝しかないな波風」
「頭上がんないわ」

采配がうまいのでしっかりバトルリレーにも彼女はいらっしゃいますけども。もちろんリアスも。とりあえず機械の爆破だけは免れたのでそこにはしっかり心の中で感謝をして。

《これにて二年一組から二年三組までの討伐合戦を終了します。スタジアム内の生徒はすみやかに退場してください。続いて二年四組から二年六組までの討伐合戦を執り行います。参加者は移動をお願いします。繰り返します――》

アナウンスがかかったので、待機メンバーで反射的に顔を見合わせた。

陽真先輩以外は出番なので、頷いて。先輩にはどいてもらってから立ち上がる。

「いってらっしゃい後輩クンたち」
『いってくるですっ!』
『寂しくねぇかい兄貴ぃ』
「とーぜん。それにすぐ刹那ちゃんたち帰ってくんだろ」

って言ってる傍から走ってくる音聞こえてきたな。

「突撃に備えとけば陽真先輩」
「お、んじゃ手広げとくわ」

いやたぶん飛び込まないと思うけども。
座って手を広げた陽真先輩に笑って、ひとまず急ごうかということで歩き出した。

「刹那ちゃんたちと同じグループだったらまた楽しかったわよねー」

スタジアムに向かう途中に走ってたクリスティアと、それを追うエルアノ・ティノとすれ違って。あの勢いで飛び込んだら陽真先輩骨折れんじゃないのと笑いながらスタジアムに来て。

一年の時よりはクラスメイトとの距離も近くなってるスタジアム内、準備運動をしてたら道化が少し残念そうな声で言った。
それに、一瞬考えて頷く。

「まぁそーね。討伐戦クラス順だし」
「それぞれ討伐数数えて競争は楽しかったかもな!」
「刹那に早めに言っとけばできたんじゃない?」
「はっ!! 盲点だったわ!」

笑顔のままショックそうな道化に笑ってやって、最後に首を回す。視界の端に見えた身内のギャラリーに今度は苦笑い。もれなく俺らも見てんのかあれは。
不思議と心地よく思ってる自分にちょっとびっくりしてるけど、気づかなかったふりをして。

照れ隠しのようにそらした視線は、去年も同じだったメンバーへ。

「そういえば懐かしいよねこのメンバー」
「そうね! ここから交流始まったわ!」
「去年は波風に任せていたね」

去年とは違って自前の武器を構え始める二人に歩み寄って行って。

《これより、二年四組から六組までの討伐合戦を始めます》

アナウンスの声に、自分でも千本を出して構えた。

「今年も俺に任せるの祈童」
「まさか。背中を預けてくれると嬉しいな。敵を滅する祈りをご所望ならばいくらでも捧げるよ」
「あたしも全力で楽しませてあげる!」
「あ、結構です」

なんて、去年を思い出すようなことを言う二人に思わず笑いながら。

《ようい》

「んじゃ去年より討伐数アップ、頑張りますか」
「任せろ」
「目指せトップ通過よ!」

互いに、預けるように背を向けて。

《スタート!》

合図と同時に出てきたおどろおどろしい敵を倒すため、地面を蹴った。

出てきた敵を千本で裂くように斬っていく。
討伐合戦も後半戦になった頃。スタジアムの半分くらいはいつの間にか俺と祈童、道化で敵を倒してて、任せてる背中の方からは同じく斬る音だったり、懐かしいスプラッタな潰れる音が聞こえてる。このスプラッタ絶対道化。
またいい笑顔でメイス振り下ろしてんだろうなぁと苦笑いしながらも、出てきた敵を斬るのは忘れない。

ちょうど目の前に飛び出てきた奴を下から斬りあげて。

「これで……えーといくつだ」
「なんだ律義に数えてたのか波風」
「なんか自分の分一回数え始めたら止まんなくてさー」

今のですっかり忘れたけども。

「八十だか百だか」
「ふり幅広いわね!」
「もう道化のそのスプラッタな音でめっちゃ集中切れる……」
「嬉々としてつぶしているようにしか見えないよな」
「そうそう」
「失礼だわ! 真剣なのに!」
「半分くらいは?」
「ちょっと楽しいわよ!」

そこで素直にそう言ってくれるのが道化らしい。すがすがしい笑顔で言ったであろう道化にこっちも笑顔になって、また目の前の敵を切り刻んだ。

「そういえば今年は闇魔術使わないのか波風」
「えーあれテンション低くないとあんま強くない」
「今テンションが上がってるのは喜ばしいが、去年のブラックホール使えばもう少し討伐数稼げるんじゃないか?」
「よく覚えてんね祈童」
「そりゃあものすごかったしな」

敵を斬りながら「そう」なんて適当に返事をして、さりげなく自分の中にも目を向ける。

今結構テンション上がってんだよな。出てくるかな闇魔術自体。いや出るには出るか。テンション上がってるとき基本的に弱くなるからって闇魔術使ったことないからどんな感じかわかんないんだよな。

「……なんかこう、すげぇちっちゃいブラックホールでもいい感じ?」
「そんなにテンションで変わるのかしら」
「いやまぁテンション上がってるとき使わないんで正確にはちょっとどうなるかわかんないんだけども。たぶんあってもなくても、みたいな感じだとは思う」
「それは……他の魔術で補ったほうがいいかもしれないな……すまん波風」
「いやこっちこそ」

っていうか。

「闇魔術使わなくても今回その分以上に補ってくれる二人がいるし大丈夫じゃない?」

敵を切り刻みながら、言えば。

なんでか後ろの打撃音とかがいきなり止まる。

―止まる?

え、なんでいきなり止まったの。さっきまで話しながらでもずっとスプラッタな音とか聞こえてたじゃん。え、何事??

先に足元に出てきた敵を踏みつぶしてから、若干恐る恐る、後ろを向けば。

顔を覆ってる二人が。その耳は若干紅い。

「……一応聞くけど何してんの」
「照れてるのよ!!」
「照れる要素なくね……」
「今のはもう告白だろ波風……」
「断じて違いますけど??」
「波風くんの天然たらし……」

俺この学園来てからまともなレッテルねぇな。

「照れてないで討伐してくださーい」
「信頼という名の告白をされたら照れてしまうぞ……」
「働きによっては前言撤回するけど」
「行くぞ道化!」
「任せなさい!!」

たったの一言で再び武器を持って敵を討伐し始めた二人に噴き出してしまった。

「やばい今度は俺が討伐できなさそう……ふはっ」
「討伐しなくても信頼してるぞ波風」
「知ってる」
「あたしもよ!! あたしも信頼してるからね!?」
「はいはい」

あぁこれはたしかに面と向かって言われると照れるかもね、なんて思いながら、なんとか笑いはこらえまして。

去年と違ってしっかり剣を振るう祈童と、今日は陽真先輩のトレースで敵をざくざく討伐していってる道化に、再び預けるように背を向けて。

こっちも頑張りますかと、千本をしっかり握って踏み出し。

「そうだ波風」
「んー」

敵へと刃を振り上げたとき。

通常に戻った祈童に声をかけられて、こっちも通常に返した。
目の前の敵へ千本を振り下ろせば。

「これが終わったら話したいことがあるんだ」

とんでもない死亡フラグに思いのほか敵が勢いよく裂かれてしまった。

ごめん待ってね。

「祈童死ぬの??」
「予定はないが」
「あきらかに死亡フラグ立てるような言い方してるわよ」
「いや討伐合戦終わったら、まぁいつでもいいんだけど。話したいことがあるなとふと思い出してね」

言い方がめっちゃもう死ぬような言い方してたわ。びっくりした。

なんとか平静を取り戻して、敵を討伐することは忘れずに。

「話したいことってなに?」
「いや、まぁなんていうんだろうね、大事なことを」

大事なこと。

大事となったらそりゃあ、

「……当然ここでは話せないこと、ですよね?」
「話せないわけではないが……うーん、落ち着いて話したい、なぁとは」

なんだろうね、脳がおかしくなってんだろうね。

こういう言い方されるとさぁ。

「こ、告白かしら……?」

ほらこうなる。
困惑した声してるけど道化絶対笑ってるよね。呪いのせいじゃなくて突然のBLフラグに嬉々としてるやつだよね。確認のために見てみれば。

笑顔ににやけが混じったお顔の道化が。

「お前のそういう笑顔初めて見たわ……」
「に、にやけちゃって……!」
「断じてそういう話じゃないからな道化」
「そういう話になったらカップリング名ってどうなるのかしら」
「うわぁもう話聞かなくなってる」

腐女子こわい。

「祈童なんでこのタイミングで言うかな」
「いやあの身内たち耳いいのばっかりじゃないか。こういう言い方だとすぐ冷やかしたりするだろ」
「一番声でかい道化がいる時点でもう少人数とか関係なくね?」
「失礼ね! そんな声おっきくないわよ!」

あ、今ので十分耳痛いです。

軽く片耳をふさぎつつ、敵を薙ぎ払って。

「別に話すの自体は構わないけども」
「ちなみに恋愛系かしら、まじめなお話かしら」
「比べるまでもなくまじめな話だね」
「俺が思い当たる系?」
「……まぁ」

え、祈童とのまじめな話で俺の思い当たる系ってなに。悩みながら敵を斬ってれば、また祈童の声。

「炎上が」
「え、龍?」

リアスがなんかした?

やばいこっちは思い当たる節がありすぎる。過保護とか過保護とか過保護とか。あれか、年末の祓い参りに家に入れなかったとかそういう感じのやつ? 真面目な話で思い当たるのはそれだし超ありえるんだけど。

「とりあえず先に言うね祈童」
「ん?」
「めっちゃごめん」
「なにがだ!?」
「いやごめんなんか思い当たる節がありすぎて、超ごめん」
「炎上くんなんだかんだ問題児だものね」
「ほんとにそう」
「炎上が聞いていたら怒られるぞ」

事実を言って怒られる意味がわからない。

うわなんかすげぇいろいろ申し訳なくなってきた。やっばいこれとりあえず先にリアスのとこ行かなきゃかもしれない。祈童の方に振り向いて。

「とりあえず波風――」
「わかった祈童、龍も交えてちゃんと話をしよう」
「待ってくれ、たぶん勘違いしてる」
「俺の親友だからってそんな気使わなくて大丈夫」

ねぇなんで祈童「だめだこりゃ」って顔すんの。え、道化もなんで若干あきらめたような顔してんの??

気にはなるけども、まずはうちの問題児から話聞くのも先かと納得して。

「案外波風くんもスイッチ入っちゃうと暴走して話聞かないわよね」
「そうだね……」

あきらめている二人に首を傾げながら、残り数分の討伐を全力でやった。

『新規 志貴零』/レグナ

おまけ
終わって早々ギャラリーの方に直行したら腹抱えて笑ってる親友がいらっしゃいました

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志貴零のOFUSE箱