僕らの思い出

クリスティアに物語を聞かせてもらう

その”楽しい”の中に、あたしはどのくらいいるんだろう

「……だめかもしれない」 突然呟くから、そっちを見た。 視線の先には、机に突っ伏したシオン。その表情は見えなくて。「何がかしら」「今の子」 聞いたら、答えが返ってきたから。あぁまたかとその先は聞かなかった。目を本に戻して、文字に目を走らせる...
クリスティアに物語を聞かせてもらう

そういうところがかわいいってどうしてわからないんだろう

「炎上君のほんとの日本名って离憂っていうんだね」 そうこぼせば、書類を書いていた炎上君はこっちを向いた。一瞬だけ目が合ってから、彼はもう一度書類に目を落として、「そうだな」と頷く。 その視線の先には、役所に提出する書類。 俺が先に書いてて、...
クリスティアに物語を聞かせてもらう

こうして振り回されることも、どこかで悪くないと思っている自分がいた

「テレポート機能を、なくしませんか……」 とある運命の日。 生界で死した愛し子の天使の一人である、オッドアイの女の子は来るなり言って来た。「……理由を聞こうかカリナ?」「聞いてくださいます!?」「聞かないと対処のしようもないからね」 今日死...
クリスティアに物語を聞かせてもらう

いつかの誕生日に、満開の笑顔を届けよう

「生きていたら、今年で十八か」 誕生日の日に家に訪れると、毎年父は言った。 目の前に立ってやってるはずなのに、父の目はどこか遠くを見ている。 目線を合わせても、目があった気がしない。 当然だよな、と自嘲気味に笑って、後ろを振り返る。 そこに...
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あなたの努力が、報われますように

穏やかな昼下がり。「あなたはほんっとに……!」「お前だって悪いだろ」 目の前で繰り広げられるのは、いつもの喧噪。 それを眺めながら。「まぁ今日も絶好調だな」「ねー」 そうこぼせば、隣にいる氷河はのんびりと返事をくれた。一応内容はお前のことな...
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季節話シリーズ(お正月・七夕)

お正月。日本のお正月と言えば。「振り袖、お餅つき、書き初め……です?」「じゃないかな。あんまり縁がなかったから詳しくはわかんないけど」 新年。日本で過ごすお正月。今年はリアスとクリスティアのご両親がお仕事やお出かけがあるからと家を開けている...
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前世兄妹シリーズ

たった一度のあなたとの思い出。 どんなにあなたが思い出すことはなくても。 きっとわたしは、ずっと忘れることはないのでしょう。「…」 ぼうっと天井を見上げる。 木の板はぜんぜん豪華になんて見えないけれど。今のわたしにはなんでもきれいで、豪華に...
クリスティアに物語を聞かせてもらう

あなたに愛を伝えるために、わたしは今日も、黒く塗りつぶされる文字を綴る

愛の言葉を言えない。 「好き」っていう二文字も、「大好き」って四文字も。 あのとき言いたかった「愛してる」っていう五文字も。 たったの数文字。でも言うってなったら緊張しちゃう、愛の告白。 もしあの頃。 あなたに言えていたならどんな反応をした...
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すれ違った君に、次はきっと”初めまして”と返すだろう

──今はもう、思い出すことなんてほとんどない。一生の後悔を背負って終わった、一つの恋愛話。「……はー……」 運命の繰り返しが何百回目かわかんなくなってきた頃の、争いが少し多かった時代。明日があるかなんてわからない、今日も、生き抜けるかわから...
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3月27日の奇跡

──天使になって、人生をやり直すかい? そう、言葉が出てきたのは。 たぶん、ボク自身がもう、後悔したくなかったから。「……今日もそうやって、駄々をこねる気かい?」「……」 紅い目の少年は、一瞬だけこちらを睨んだ後、すぐにそっぽを向いてしまっ...
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いつかは、晴れた日にめいっぱい外で駆け回ろう

「♪、♪」「冷えるぞ」「んっ」 そう声をかけても、水色の恋人は窓から離れない。 普段から冷たい手は、こちらに戻ってきたらより一層冷えているのだろうと微笑み、読んでいた本はソファに置いた。 恋人が釘付けになっている窓の外を見やれば、少し季節か...
クリスティアに物語を聞かせてもらう

いつだって、かっこよくてかわいいヒーローの一番でいたい

「こわい」 呟かれた声に、そちらを向いた。 ソファの上にちょこんと座り、膝を抱えている恋人は、また。「…こわい」 こぼして、俺にもたれかかる。かわいげのあるそれに微笑んでしまうのはしょうがない。なるべく見せないようにはしつつ。「珍しいな」 ...
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しあわせという名の終わりが、永遠に来ませんように

「キミから”幸せ”って言葉を聞いたことがないよね」 とある運命の日を終えて、天界に帰って数日。突然セイレンが言って来た。 勉強期間中だから、本を広げたまま。セイレンを見上げて、首を傾げる。「いきなりどうしたの…?」「なんとなく。ボクはキミか...
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それでも、恋してしまった俺の負け

「君の収集癖というのは兄譲りだったりするの?」 そう聞くと、彼女はこちらを見てコーヒーを注ぐ手を止める。 その数秒後、納得がいったのか。「あぁ」と笑って、再びコーヒーを注ぎながら笑った。先ほどの蓮と雪巴の掛け合いがきっかけだろうと気づいた彼...
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違う意味でまた「すまない」と言われるのは、もう少し先の話

きっとそれは、当たり前になっていたんだと思う。「それでね!」「うん」 隣で話す美織ちゃんは、口元はずっと笑みだから感情がわかりづらいけれど。目を見れば、感情がちゃんとわかる。 今、楽しんでくれているということ。 中学の終わり。 二人とも人間...
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後日その壁を優雅に越えようとしている不良がいました

「告白しようと思ってるんだ」 突然言われた言葉に、自分でもわかるくらい目を見開く。その先にいる彼は、少しまだ迷っているんだろうけれど、本気がうかがえて。「……誰に」 放課後の少しまだざわつく教室の中。 彼にだけ届く声で、そう言えば。 目の前...
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勝利という花を咲かせるまでは、きっとあと少し

「疲れちゃわない?」 その声に、自分でもわかるくらい驚いた顔をしてそちらを向いた。 けれど視線の先の友人は、ゲームに目を落としまま、どこか興味なさげに僕に続ける。「頑張りすぎてないかなって」「……僕の話か?」「そう、祈童の話」 そう言われて...
クリスティアに物語を聞かせてもらう

悪夢の中が今の君だったなら、俺は二度と帰ってこれなかったんだろう

気づいたら、暗い部屋にいた。 周りを見渡したら、暗くて見えづらいけど、丸いものとかかごが置いてある。「……倉庫……?」 急だなってことと、においが場所特有な感じがないなってことから、すぐに夢だってわかった。すぐ気づくのもあんまり楽しくないな...
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F-Marchの後話短編

中学の頃から見慣れた、紫のフードを見て、問う。「本当に行くの」 襟足だけ伸びてる不思議な髪形をした現相棒は、振り返ることなく。ベッドに腰かけながらいつもの調子で頷いた。「そりゃもちろん。カワイイ後輩が困ってるみたいだし?」「そう」 真っ白い...
クリスティアに物語を聞かせてもらう

さくらの日パズルの夢シリーズ

運命の日は、それが終わりの年じゃなくても。ときどき不思議なことが起きた。「、ぅ」「熱、下がりませんね」「んー、解熱剤も効かないね」 私たちの誰かが、体調を崩したり、下手したら死んでいたんじゃないかというようなけがをしたり。結局はそのまま治る...
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