クリスティアに物語を聞かせてもらう 怒りをすべて飲み込んで、手に入れたかった日々 「炎上は沸点高いよな」 落ちてきた言葉に、上を見上げる。そこには帽子をかぶった祈童。 その言葉に頷く前に。「いいのか、向こうは」「あぁ。体力が持たない」 笑ってやって、隣に座ることを許す。 目の前のクリスティアが「見てー」と砂の城の進捗を見... 2025/10/06 07:00 クリスティアに物語を聞かせてもらう
クリスティアに物語を聞かせてもらう できるなら四人で、この先も共に歩いていきたい。これまでのように、支え合って 「んー」 うなった声に、目を声の方向に向けた。「んー……?」 その声は無意識に出しているんだろう。特別こちらに助けを求めるでもなく、顔もこちらを向くことはなく。 ただただ、目の前のことに無意識に出している声。 けれど一度目を向ければ、困って... 2025/09/24 07:00 クリスティアに物語を聞かせてもらう
クリスティアに物語を聞かせてもらう たくさんの幸せを一緒に経験して、君といつか 「一日があっという間なんだよね~」 そう言う親友の言い方が、ものすごく残念そうで。うたた寝しそうな陽気の中、なんとか目を開けて隣の親友を見た。 その親友はときどき色が変わる爪をいじりながら、それ以降黙る。それに、数回眠気を覚ますよう瞬きをし... 2025/09/11 07:00 クリスティアに物語を聞かせてもらう
クリスティアに物語を聞かせてもらう そのあとしっかり叱られた 「なんか戻り気味だね」 親友の言葉に、そちらを見ることはなかった。見るのは、愛しい恋人。 少女のような恋人は、ぼんやりとしては、ときにハッとして。ふるふると頭を振り、目の前のイラストへとまた集中する。 そうしてまた少ししてから。「…」 少し... 2025/08/23 07:00 クリスティアに物語を聞かせてもらう
クリスティアに物語を聞かせてもらう その”楽しい”の中に、あたしはどのくらいいるんだろう 「……だめかもしれない」 突然呟くから、そっちを見た。 視線の先には、机に突っ伏したシオン。その表情は見えなくて。「何がかしら」「今の子」 聞いたら、答えが返ってきたから。あぁまたかとその先は聞かなかった。目を本に戻して、文字に目を走らせる... 2025/08/06 07:00 クリスティアに物語を聞かせてもらう
クリスティアに物語を聞かせてもらう そういうところがかわいいってどうしてわからないんだろう 「炎上君のほんとの日本名って离憂っていうんだね」 そうこぼせば、書類を書いていた炎上君はこっちを向いた。一瞬だけ目が合ってから、彼はもう一度書類に目を落として、「そうだな」と頷く。 その視線の先には、役所に提出する書類。 俺が先に書いてて、... 2025/07/21 07:00 クリスティアに物語を聞かせてもらう
クリスティアに物語を聞かせてもらう こうして振り回されることも、どこかで悪くないと思っている自分がいた 「テレポート機能を、なくしませんか……」 とある運命の日。 生界で死した愛し子の天使の一人である、オッドアイの女の子は来るなり言って来た。「……理由を聞こうかカリナ?」「聞いてくださいます!?」「聞かないと対処のしようもないからね」 今日死... 2025/07/13 07:00 クリスティアに物語を聞かせてもらう
クリスティアに物語を聞かせてもらう いつかの誕生日に、満開の笑顔を届けよう 「生きていたら、今年で十八か」 誕生日の日に家に訪れると、毎年父は言った。 目の前に立ってやってるはずなのに、父の目はどこか遠くを見ている。 目線を合わせても、目があった気がしない。 当然だよな、と自嘲気味に笑って、後ろを振り返る。 そこに... 2025/06/20 07:00 クリスティアに物語を聞かせてもらう
クリスティアに物語を聞かせてもらう あなたの努力が、報われますように 穏やかな昼下がり。「あなたはほんっとに……!」「お前だって悪いだろ」 目の前で繰り広げられるのは、いつもの喧噪。 それを眺めながら。「まぁ今日も絶好調だな」「ねー」 そうこぼせば、隣にいる氷河はのんびりと返事をくれた。一応内容はお前のことな... 2025/06/15 07:00 クリスティアに物語を聞かせてもらう
クリスティアに物語を聞かせてもらう 季節話シリーズ(お正月・七夕) お正月。日本のお正月と言えば。「振り袖、お餅つき、書き初め……です?」「じゃないかな。あんまり縁がなかったから詳しくはわかんないけど」 新年。日本で過ごすお正月。今年はリアスとクリスティアのご両親がお仕事やお出かけがあるからと家を開けている... 2025/06/10 06:55 クリスティアに物語を聞かせてもらう未来へ続く物語の記憶
クリスティアに物語を聞かせてもらう 前世兄妹シリーズ たった一度のあなたとの思い出。 どんなにあなたが思い出すことはなくても。 きっとわたしは、ずっと忘れることはないのでしょう。「…」 ぼうっと天井を見上げる。 木の板はぜんぜん豪華になんて見えないけれど。今のわたしにはなんでもきれいで、豪華に... 2025/06/06 06:55 クリスティアに物語を聞かせてもらう未来へ続く物語の記憶
クリスティアに物語を聞かせてもらう あなたに愛を伝えるために、わたしは今日も、黒く塗りつぶされる文字を綴る 愛の言葉を言えない。 「好き」っていう二文字も、「大好き」って四文字も。 あのとき言いたかった「愛してる」っていう五文字も。 たったの数文字。でも言うってなったら緊張しちゃう、愛の告白。 もしあの頃。 あなたに言えていたならどんな反応をした... 2025/05/30 06:55 クリスティアに物語を聞かせてもらう未来へ続く物語の記憶
クリスティアに物語を聞かせてもらう すれ違った君に、次はきっと”初めまして”と返すだろう ──今はもう、思い出すことなんてほとんどない。一生の後悔を背負って終わった、一つの恋愛話。「……はー……」 運命の繰り返しが何百回目かわかんなくなってきた頃の、争いが少し多かった時代。明日があるかなんてわからない、今日も、生き抜けるかわから... 2025/05/13 06:55 クリスティアに物語を聞かせてもらう未来へ続く物語の記憶
クリスティアに物語を聞かせてもらう 3月27日の奇跡 ──天使になって、人生をやり直すかい? そう、言葉が出てきたのは。 たぶん、ボク自身がもう、後悔したくなかったから。「……今日もそうやって、駄々をこねる気かい?」「……」 紅い目の少年は、一瞬だけこちらを睨んだ後、すぐにそっぽを向いてしまっ... 2025/05/08 06:55 クリスティアに物語を聞かせてもらう未来へ続く物語の記憶
クリスティアに物語を聞かせてもらう いつかは、晴れた日にめいっぱい外で駆け回ろう 「♪、♪」「冷えるぞ」「んっ」 そう声をかけても、水色の恋人は窓から離れない。 普段から冷たい手は、こちらに戻ってきたらより一層冷えているのだろうと微笑み、読んでいた本はソファに置いた。 恋人が釘付けになっている窓の外を見やれば、少し季節か... 2025/04/29 06:55 クリスティアに物語を聞かせてもらう未来へ続く物語の記憶
クリスティアに物語を聞かせてもらう いつだって、かっこよくてかわいいヒーローの一番でいたい 「こわい」 呟かれた声に、そちらを向いた。 ソファの上にちょこんと座り、膝を抱えている恋人は、また。「…こわい」 こぼして、俺にもたれかかる。かわいげのあるそれに微笑んでしまうのはしょうがない。なるべく見せないようにはしつつ。「珍しいな」 ... 2025/04/26 06:55 クリスティアに物語を聞かせてもらう未来へ続く物語の記憶
クリスティアに物語を聞かせてもらう しあわせという名の終わりが、永遠に来ませんように 「キミから”幸せ”って言葉を聞いたことがないよね」 とある運命の日を終えて、天界に帰って数日。突然セイレンが言って来た。 勉強期間中だから、本を広げたまま。セイレンを見上げて、首を傾げる。「いきなりどうしたの…?」「なんとなく。ボクはキミか... 2025/04/18 06:55 クリスティアに物語を聞かせてもらう未来へ続く物語の記憶
クリスティアに物語を聞かせてもらう それでも、恋してしまった俺の負け 「君の収集癖というのは兄譲りだったりするの?」 そう聞くと、彼女はこちらを見てコーヒーを注ぐ手を止める。 その数秒後、納得がいったのか。「あぁ」と笑って、再びコーヒーを注ぎながら笑った。先ほどの蓮と雪巴の掛け合いがきっかけだろうと気づいた彼... 2025/04/15 06:55 クリスティアに物語を聞かせてもらう
クリスティアに物語を聞かせてもらう 違う意味でまた「すまない」と言われるのは、もう少し先の話 きっとそれは、当たり前になっていたんだと思う。「それでね!」「うん」 隣で話す美織ちゃんは、口元はずっと笑みだから感情がわかりづらいけれど。目を見れば、感情がちゃんとわかる。 今、楽しんでくれているということ。 中学の終わり。 二人とも人間... 2025/04/12 06:55 クリスティアに物語を聞かせてもらう
クリスティアに物語を聞かせてもらう 後日その壁を優雅に越えようとしている不良がいました 「告白しようと思ってるんだ」 突然言われた言葉に、自分でもわかるくらい目を見開く。その先にいる彼は、少しまだ迷っているんだろうけれど、本気がうかがえて。「……誰に」 放課後の少しまだざわつく教室の中。 彼にだけ届く声で、そう言えば。 目の前... 2025/04/07 06:55 クリスティアに物語を聞かせてもらう