未来へ続く物語の記憶

未来へ続く物語の記憶

いつか来る別れの時に、寂しくないように

未来へ続く物語の記憶

楽しさの中に、ときに悲しさも忍ばせて

愛しい恋人のためにと、包囲されたのもあるがなんとか頑張って頷いた旅行。  四日目にして、正直とても気が気じゃない。  来た日は車にはまぁ酔ったが別に問題なかった。この一週間は基本海やプール。濡れている肌は風呂で、水着は下着で見慣れているし、...
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この夏の日々は、きっとまた一瞬で

夏休みも中盤へとさしかかった八月十四日。まだまだ暑い日が続き、正直ゆっくりとしていたい中。 「……毎度の事だが山に篭もりにでも行くのか?」  蝉のビーストが主に求愛をするために鳴く外での第一声はそれしか出なかった。  だってそうだろう?  ...
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これは、彼らを知る物語

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離れていても、”君がいたら”と想う

「…」 「……言っていた割には元気そうじゃないか?」 「…うん」  夏まっただ中の笑守人学園。恋人様と、花壇の前で二人して首を傾げる。  カリナとレグナがフランスに行って、ちょっと。  夏だからなるべくこまめにお水上げなきゃってことで、二人...
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振り返ると、こんな日々もあったと笑う

海の定番の口上と言えば、青い空、白い雲。  漫画やアニメでよくある風景ですよね。  けれど現実はそう甘くなく。 「…灰色の空…」 「薄暗い雲だな」 「さすが大荒れ直前」  そんな都合良く素敵な風景を拝めることはなかった。  旅行三日目、本日...
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あの頃の苦しみも、すべて今の笑顔に繋がっていますように。

夏。  夏と言えば、真っ先に上がるのはやはりプールや海という水辺で遊ぶもの。  水着で開放的になり、思わず想いをぶっちゃけてしまったり。  気になる子の水着姿を他の人に見せたくなくて、自分の上着を着せたり。  どっちにしても、恋人や好きな人...
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わたしはあなたのすべてを見たい

待ちに待った、夏休み。 「…ねーぇ」 「ん」  朝。大好きな人と、二人きり。 「ね、くるし…」 「ん……」  ベッドの、上。  いつもより甘い、恋人様の声。 「リアス、さま」  自分の声も、ちょっとだけ、たどたどしい。  それもそのはず。 ...
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世界の平和は、きっと私の手にかかっている

「炎上君たちの班はどうしましょうかね~」  さぁやって参りましたわ護衛テスト。エシュト学園から少し離れたところの会場に車で移動し、十一時少し前に到着。”エシュト学園生徒用”と看板が出ていた部屋に行くと、担当の江馬先生が迎えてくれました。  ...
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準備万端。すべては共に楽しむために。

みおりたちとプールで遊んだ週の、金曜日。  自習期間は、自分の勉強になるならなにしてても、どこの教室にいてもいいって言われたから。 「これー…」 「ん」 「私はこれで」 「龍これも」 「お前達は自分でやれ」  今日は、四人でエシュトの図書館...
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このチームワークは、いつかのためになるはず

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わたしのすべては、あなたのもの。

振り返ってみると楽しかった体育祭を終えて、土日を挟んで七月最初の登校日。  体育祭ではぎらぎらした目にびっくりしたけど、武煉先輩たちのおかげでこれからも静かなんだよねと、七月ということで衣替えした生徒たちで溢れる通学路を歩いていく。  一応...
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少し騒がしくなった僕らの日常

この世界には、「地区」、というものがある。  大きく分けられた種族が争いを起こさないようにと引かれた規制線でできた区域のことで、主にその街の中心地──ここでいうならば笑守人を中心に、八つの地区がある。  東西南北にはヒト型が住み、間の北東、...
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君の日々が、少しでも色鮮やかさを取り戻せますように

《優勝はめでたく青組と決まり──》 「いやぁ、ワリィコトしちまったな」  すべての演目が終わり、閉会式。  司会の方が成績発表を行っていく中、私の隣に座る陽真先輩が珍しく本当に申し訳なさそうに言いました。彼の隣にいる武煉先輩も、申し訳なさそ...
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魔王、再臨

「すげーなんか歓声聞こえた」 「あのモニターで見りゃわかんだろ、なにしてんだオマエんとこのチートクンは」 「随分ご機嫌のようだね」  リアスが最後に駆り出されていったので、クリスティアのミッション遂行走を先輩方と見ていた。ラスト出るのとかあ...
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いつか言葉を失っても、あなたには届くはず

「私はそれほどまで信用なりませんかね」 「くじ引きで遠くなった場合どうするつもりだ」 「あなたはほんとにもう……」  リアス様にあきれて、カリナはため息をついた。  リアス様と上級生で双子の演目を見たあと、妨害守護合戦から帰ってきた双子も合...
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巡り巡っても、変わらぬ想い

「あっちゃぁ、華凜負けちゃったか」 「他走者が全員男で二位というだけすごい方だろう」 「華凜ちゃんも足速ぇなぁ」 「うちでは遅い方だよ…?」 「マジかよほんとチート」  カリナがマラソンの方に行って、しばらくして戻ってきたリアスとクリスティ...
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備えもできず、憂いも増す

「……撃破しましたよね」 「したね」 「捕縛ですよね?」 「捕縛だね」  捕縛走が行われる場所から少し離れた人工芝に腰を下ろして幼なじみカップルの勇姿を見ていました。運命というものなのかリアスとクリスは一緒だそうで。足の速さだったらやっぱり...
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人の世は、いつか為になることばかりだけど

《選手宣誓、私たち笑守人学園の生徒は、この体育祭を通し、より一層人々を笑顔に出来る力を身につけると誓います》  雲一つなく、よく晴れた体育祭当日。正直雨よ降れと思ったが願いは通じず。笑守人の生徒は動きやすい服装に、各チームのハチマキを任意の...
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人生初、学園不良体験

「では今月末、六月三十日に行われる体育祭について説明をする」  梅雨の割には雨が少ない日が続く六月中旬、クラスHRの時間。俺たち一組の担任・杜縁先生が全員に紙を配り始めながらそう言った。 「まず、笑守人学園での体育祭は一般でやっているような...